「注射剤薬液の微粒子測定」 (244.3 KB)
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概要
3度目の更新となるこの技術資料では、USP<788>(2007年4月)、EP5.1、JP15という最新の更新情報を含む米国(USP)、ヨーロッパ(EP)、日本(JP)の薬局方の規格を検証しています。これらの規格では、注射剤薬液の微粒子汚染、特に非溶解性微粒子を効果的に監視することを義務付けています。
3つの規格の変更点:
1. USP:2007年4月に最新の更新を行い、新しい試験法を導入
2. EP:2005年のSVI製品を含めるための変更
3. JP:2006年の改訂
注射剤薬液
製薬会社では固体、液体の両方を生産しています。固体薬とは、錠剤、乾燥粉末、口中薬、坐薬などがあります。古来より非経口薬として知られる液体薬とは、現在の注射剤のことです。点眼薬、軟膏、IV(静脈内投与剤)、ワクチンなどを指します。注射剤薬液は、大量注入剤(LVI)、少量注入剤(SVI)、溶解を必要とする大量もしくは少量の乾燥粉末注射剤(多くは少量)としてそれぞれパッケージされています。
LVI(大量注入剤)は、袋やボトルに大量の静脈投与薬(IV)が充填されています。添加剤を用いない場合の一般的な用途は: 1)電解質障害と体液平衡を正す、2)栄養剤投与、3)他の薬剤の流動を促す、などです。大量の非経口薬は100ml、またはそれ以上の量が容器に充填されており、容器には、空気孔付きのガラスボトル、空気孔無しのガラスボトル、プラスチック製の袋の3種類が使われています。
SVI(少量注入剤)は、通常100ml以下を指し、用途別に異なった容器を用いています。SVIは一般的に、アンプル、水薬瓶、小袋、注射器(充填済み注射器として生産するもの)に充填されています。
無菌の注射剤の場合は、小さな微粒子はもとより、すべての可視微粒子を除外しなければなりません。微粒子とは、非経口薬に含まれるべきではない浮遊固体で、水薬瓶、金属、プラスチックの残存断片物から発生する個々の物質あるいはセルロース、ガラス、ゴムの芯などの集合体です。無菌懸濁液には微粒子が含まれている場合がありますが、これらの微粒子は通常、薬剤そのものである場合や原材料である場合が多く、汚染物質ではありません。
微粒子汚染の主な原因:
· 製造環境と器具
· 製造者(スタッフ)
· 充填する容器
注射剤の微粒子管理の歴史
なぜ患者がさらされる微粒子の数と許容量を管理すべきなのか、という道理を考えるときは、「微粒子が持つ影響力」と「患者が受け入れられる安全な許容量」という点について考えなければなりません。
第一に、非溶解性微粒子が人間の健康に有害である、と以下の理由からも証明されているため、許容量を管理することが重要なのです:
1. 化学物質アレルギー 微粒子の体内流動は動脈との化学的相性が悪く、最終的に患者の体内を汚染する。
2. 肺動脈瘤 粒径の大きな微粒子は動脈に引っかかり、生理的影響を及ぼす。
3. 高血圧 身体が外的物質を拒絶し、免疫システムに過度の負担をかけることにより二次的影響を及ぼす。
まず、安全な許容限度値を測る必要があります。患者の生体と外的微粒子に対する予想許容限度値、さらにその測定を可能にする技術、この2点が重要です。生体は様々で、特定するのは難しく、機器により判定された許容限度値を超過する場合もあり得ます。では、注射剤薬液の許容限度値測定を考えてみましょう。
液中パーティクルカウンタのテスト限界に関する数多くの研究がされてきました [Sizing accuracy of Particle Counters: Fujishita, Sendo, Hisazumi, Otsubo, Aoyama & Oishi. Coincidence Model for Particle Counters: Knapp, Lieberman & Abramson]。これらの技術資料は、パーティクルカウンタで許容される最大粒子濃度の定義と測定機器に期待される正確性を検証しています。これらの研究の結論は以下の通りです:
· 電圧閾値(センサー分解)の半量測定値、あるいは、コンピュータプログラムによる微粒子のガウス分布測定により粒径測定の正確性が定義される
· 最大許容粒子濃度は、レーザー光線内に浮遊する複合粒子である
上記の影響は2倍:
· 複合粒子が上位チャンネルで誤認され、許容限度値測定におけるオーバー・カウント(誤検出/数え過ぎ)や誤測を起こす。
· 複合粒子を一つの大きな粒子として検出してしまうために起こる測定不足や小さな粒径の粒子を見逃してしまう。
許容限度値は、現在の技術における微粒子測定の正確性に基づき定義されており、元来USP22で<788>試験法で定義されていた許容限度値は以下の通りです:
· 10µm 10,000個/容器
· 25µm 1,000個/容器
研究後、光散乱式パーティクルカウンタの最も効率的な測定量を検証し、誤測定とエラーの誤認が生じるため、USP23<788>の許容限度値を以下の通り定義しました:
· 10µm 6,000/容器
· 25µm 600/容器
仕様に沿った微粒子測定
IV製品(静脈投与剤)を管理する装置も微粒子汚染を受ける可能性があり、それぞれに該当する医療機器検査と衛生管理上の認証を受ける必要があります。50µm以上の微粒子は視覚検査により発見することができますが、50µm以下の微粒子にはAPSS200微粒子測定システムを推奨します。許容限度値の国際基準は、非経口薬に含まれている数々の微粒子に適応しています(USP検査規格<788>に準拠)。
米国薬局方(USP)試験法条項<788>では、混入されていてもIV製品の管理上安全であるとされる非感染性微粒子汚染の許容限度値について定義しています。定義されている許容限度値は粒経10µmから25µm以上。USPの指示は、一回分の使用量として、製造後に直接使用可能となっているすべての大量注入剤に適用されます。
ヨーロッパ薬局方(EP)規格5.0の2.9.19条では、100ml以上の調剤薬は、定義された微粒子汚染の許容限度値以下であることを試験により証明しなければならない、と謳っています。これらの許容限度値は表1の通りです。この定義に関して、少量の非経口薬に関してはどうすれば良いのか、という疑問が投げかけられました。SVI(少量注入剤)に関しては調剤薬用のEP5.0で定義されていましたが、検査の必要性は定められていませんでしたので、EP5.0での定義に関係なく、品質管理の証明として行われていたのです。これは、2005年4月のEP5.1改訂により変更され、現在では「人間用の調剤薬、点滴あるいは注射剤はこの試験を受けなければならない」としています。従って、すべての調剤薬(LVI(大量注入剤)とSVI(少量注入剤))はEP5.0に準拠しなければなりません。筋肉注射剤と皮下注射剤にはより高い許容限度値も許可され、放射性医薬品と最終ろ過工程により処理されている製品に関しては試験が免除されています。
日本薬局方(JP)では、完成製品あるいは輸送媒体液中の不溶解性微粒子は個々に試験を受けなければならない、と定めています。しかし、すべての大量/少量注射剤は試験法に準拠しなければなりません。
機器と方法論
薬局方試験法では、LVIサンプルの微粒子測定において、光遮へい型自動微粒子測定装置による測定方法と顕微鏡粒子計数法という2種類の異なる試験方法を用いることを許可しています。すべての注射剤が両方の試験方法で分析できるわけではありません。光遮へい法は、水と異なる色、粘性、透明性を持つ薬剤には適応しない場合もあり、エラーを起こす可能性があります。顕微鏡法は、フィルター上に集積してしまうゼラチン状成分を含む薬剤には適しません。このような場合は、製品の販売に向け、他の試験方法も付加的に用いる必要があるかもしれません。製品が試験法1(光遮へい法)に適さない場合、サンプルを希釈し、試験に適した透明性や粘性にすることができます。
自動微粒子測定器は主に光学レーザー微粒子測定システムを用います。自動測定システムには2つの基準が定義されています。
1. センサー密度限度値: センサーが同時にカウントする割合を示す「密度」は粒経限度値10µmの場合で10%。APSS-200システムは最大密度10,000/mlを誇ります。
2. センサーダイナミックレンジ: 最小サイズの微粒子も見逃さないダイナミックレンジが必要とされます。USPでは、10µmと25µmです。APSS-200システムは、可測粒経2µmから125µmまでの感度を誇り、最小粒経0.1µmも感知します。
APSS-200システムのLiQuilaz®液中パーティクルカウンタは、レーザー光線内に設置された液中の微粒子が光を遮るという原理に基づく直接的な測定方法を用いています。光線内を通過する微粒子がレーザー光線を屈折させます。電気的に発生させたパルスがレーザー光のマイナス量を感知し、微粒子によって屈折した光は微粒子のサイズ測定に用いられます。これらのパルスはセンサー内のアナログ-デジタル変換機により計測されます。液体は長方形のキャピラリーを通して光学システムに送られます。
キャピラリーの前面後面には窓があり、反射を抑えるコーティングがなされています。システム全体は、ハードウェアの管理、データの解析と保存を担う中核ソフトウェアにより管理されています。
微粒子が通過することにより起こる光の変化は光センサーにより感知され、この信号が同等のデジタル形式に増幅、変換されます。デジタル信号の値はマイクロプロセッサーで同等の微粒子サイズに変換されます。異なるサイズの微粒子がマイクロプロセッサーでカウント、保存され、必要に応じてデータ表示システム上に表示することができます。
LiQuilaz微粒子センサーLS-200サンプラーとSamplerSight-Pharma管理システムソフトウェアは、薬局方試験に適応していなければならず、承認を受けるために定義された基準を基に様々なテストを受けなければなりません。これらのIQ(据付時適格性確認)、QQ(運転時適格性確認)では以下の項目が対象となります:
サンプル量の正確性. 微粒子の量は適量のサンプルに基づき測定されるので、サンプル量が正確であることが重要です。LS-200シリンジサンプラーでは、1、5、10、25mlのシリンジに対応し、基準を5%も上回る正確性を誇ります。
サンプル流動率. サンプル流動率の重要性は、光学測定範囲を通過する微粒子の速度に基づきます。フォトダイオードに現れる微粒子の影に影響します。LiQuilazは2つのサンプル流動率、10 mL/分と20 mL/分で較正されています。サンプル流動率は、固定量のシリンジがポイントへ移動し始めてから時間を計測します。そのポイントに到達すると起点がリセットされます。
内部の自動較正プログラムを起動しておくと、APSS-200システムの較正を行います。本プログラムのシステム上、USP規格10、15、25µm(EP規格では10、25µm)を含む微粒子サイズ2、5、10、15、20、25、30µmを必要とします。システムのマイクロコントローラーに備えられた演算法は、Particle Measuring Systems社の適合認証を受けています。JP15では、システムは機器に合った許容限度値に適合しなければならない、としていますが、EP、そして現在ではUSPも、システムは「適切に」較正されていれば良い、と定めています。
一度測定能力が較正されれば、測定の正確性は現場のPQ(稼働時適格性確認)試験時に持続します。既知の微粒子濃度は、システムによりサンプルが採取され、結果は、薬剤中の総微粒子数は10mmと15mmの両方で±10%以内と実証されています。 測定の実施 システムが利用可能となり、非経口サンプルの微粒子レベルの測定を行うことができます。サンプル測定の最初は、解析するためのサンプル、量を確認してある薬剤を準備します。大量の非経口薬や、小さな水薬瓶をまとめて1つのサンプルとする場合もあります。どちらの場合でも、既に製品化されている代表的製品を用います。
各薬局法はサンプルを採取する製品に関する試験基準を定義しており、USP試験法の変更に伴い、これらの基準は再度取り上げられ、以前から基準を定めてきたEPに倣ったのです。以下に、規定された試験方法をまとめました。
· 試験には較正済みの適切な光遮へい型パーティクルカウンタを用いる。
- 較正サイズは10µmと25 µm
- 微粒子集合体回避のための処理を行う
· 層流キャビネットで行う
· ガラスが清潔であること
- 5ml、10µmで25個(総微粒子数)以下の各サンプルを5個用意する
· 試験方法
- 20回反転させる
- 垂直に置く、あるいは高周波分解によりガス抜きをする
- 4個のサンプルを採取する(最低5ml)-1個は破棄する-平均3個
· 限度値を変更しない
LiQuilaz微粒子センサーとLS-200液体サンプラーは、SamplerSight-Pharmaソフトウェアで必要なテスト基準に適応するように簡単に設定することができ、類似製品や試験に再利用できるようにレシピを定義、保存することができます。サンプルはAPSS-200システムに設定され、磁気攪拌を用いて常にサンプルに刺激を与えることにより、汚染粒子が均一になり、サンプル容器の底に停滞しないようにします。LiQuilazパーティクルセンサーで解析する必要なサンプル量を採取するためにシリンジを用います。1つのサンプル測定毎に微粒子測定データと測定回数が記録されます。データは、単純なカウント数、1mlあたりの数、容器あたりの数、各チャンネルあたりのカウント率、あるいは、1サンプルの平均測定値として表示することができます。結果の平均は、ソフトウェアにより、既知の規格に対する迎合性を評価されます。
データはSamplerSight-Pharmaソフトウェアにより管理され、結果は今後のデータ分析のために、その場で印刷、あるいは保存することができます。21CFR Part 11基準に適応するため、データファイルは暗号化され、変更不可能な状態で保存されます。ソフトウェアのセキュリティ機能はサンプリングシステムに装備されており、システム操作とデータ分析を行えるのは認証されたシステム利用者に限られています。
この時点で製品の微粒子汚染値の証明としてデータを利用することができます。このデータを、無菌、滅菌、安定性、pH、浸透圧が保証されている他からのデータと共に利用する場合は、承認を受け、利用することができます。
結論
USP、EP、JPでは、非経口薬の無菌性に関する厳しい基準を定めています。Particle Measuring Systems 社のAPSS-200システムは、これらの基準を満たし、利用者が簡単にテストを行えるようにシンプルな方法を提供しています。確立された技術を求める3つの薬局方の厳しい規格に適応できるシステムであることは世界中で証明されています。以前から受け継がれている基準はすべて光遮へい法に関するものであり、信頼性が高く、繰り返し基準に適応できているのはこの技術だけなのです。
著者
マーク・ ホールワースは、米国コロラド州ボルダーにあるParticle Measuring Systems社の製薬担当マネージャーです。8年以上に亘り、約200回も製薬生産施設への施設監視システムの導入、検証確認を監督してきた実績を持ち、当社の21CFR Part 11適応ソフトウェアの開発作業も監督してきました。現在はヨーロッパと米国各地で製薬関係者に、生育不能微粒子モニタリング、cGMP規格遵守(FDAとEUでの承認方法)、施設監視システムとGAMPに適応させる意味について講義を行っています。連絡先は、Eメール: mhallworth@pmeasuring.com、電話: 303.443.7100です。
LiQuilaz®はParticle Measuring Systems, Inc.の商標登録です
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